従業員満足度を測定するためのベストな方法と重要な指標
なぜ従業員満足度を測定することが重要なの?
企業経営者であれば、誰もが「顧客は常に正しい」という昔からある格言を耳にしたことがあるでしょう。
これは一般的に、顧客とそのニーズを満たすことが必要だ、という意味です。
この原則は、従業員にも同様に当てはまります。
なぜなら従業員もまた、企業の顧客だからです。彼らが勤務環境、給料、福利厚生、研修などに満足していなければ、転職を考える可能性が高くなってしまいます。
従業員満足度を測定する重要性
従業員満足度を正確に測定すれば、彼らが企業や仕事に対してどう感じているのかがわかります。
そしてその情報は、次のようなことを改善するのに役立ちます。
生産性
満足度の低い従業員は、満足度の高い従業員と比較すると仕事への取り組み方が異なります。
満足度の高い従業員は満足度の低い従業員より、生産性が2倍高くなる可能性があるのです。
従業員ロイヤルティ(定着率)
従業員に幸せだと感じてもらえなければ、企業に残ってもらうのは難しくなります。
満足度の高い従業員は、積極的に転職先を探したり、別の雇用機会のために退職したりする可能性がはるかに低くなります。
企業文化
満足度の低い従業員は、良くない雰囲気を作り出す恐れがあります。
彼らのネガティブな態度は、ほかの従業員の企業に対する見方や職場でとる行動に影響をおよぼしてしまいます。
一方満足度の高い従業員は、ほかの従業員をサポートし、仕事環境を良くしようとする傾向があります。
従業員満足度を測定する6つの方法
ネガティブなコメントがない=問題がない、と考える雇用主もいますが、それは間違いの可能性があります。
気になる点について従業員が何も言ってこない場合、それは正直に話すことができないと感じているからなのかもしれません。
管理職の部屋で仕事に満足しているかどうか質問されても、従業員は本音を言いづらいでしょう。
こうしたシチュエーションでは、従業員の立場が不利になります。正直に答えたことで職が危うくなるのではないかと、彼らが不安に思うかもしれないからです。
管理職が「どう答えたとしても、仕事内容や給料、今後のキャリアチャンスに影響することはありませんよ」と説明しても、それを信じるのは難しいかもしれません。
従業員満足度を測定するには、以下の方法があります。
1. 従業員満足度調査
従業員にこの調査を依頼することは、従業員満足度を測定するのに非常に効果的な方法です。
この調査は従業員満足度測定の基本です。
正直な回答を引き出すための鍵は、匿名調査にすることです。
従業員は雇用主に本音を打ち明けることに慎重なため、匿名でのフィードバックのほうがずっと正直に答えやすくなるのです。
このタイプの調査を行うと、従業員は自分たちの声が経営陣に確実に届いていると確信できます。
選択式の質問を設けると、従業員満足度をより迅速かつ簡単に測定できます。
ただし、仕事に対する満足度について自由に書けるような自由記述式の質問もいくつか含めるようにしましょう。
全従業員に同じ内容の調査を送信するのではなく、パルス調査(短期間の繰り返し調査)を行うようにしましょう。
倉庫作業員の仕事環境は、管理職の仕事環境とは異なりますよね。パルス調査はこのような特定のグループの従業員に焦点を当てます。
たとえば、倉庫作業員にはある一連の質問を含む調査を送り、管理職チームにはまた別の一連の質問を含む調査を送信するのです。
従業員満足度調査を送信する際に使いやすいツールはGoogleフォームです。
もっと特別なプログラムが必要な場合は、OfficeVibeのようなソフトウェアを選択肢として検討しましょう。
2. 1対1ミーティング
匿名で行う調査と比較すると、従業員を個別に呼び出して行う個人面談は、彼らの仕事満足度を測定するうえで信頼性が低くなります。
その代わりに、従業員と管理職との定期的な(毎週、隔週、または毎月)個別ミーティングをスケジュールしましょう。
このようなミーティングはコーチングセッションと呼んでもかまいません。
こういう形をとることで、従業員はより気楽に感じられるようになるでしょう。ミーティングでは、次のことについて話し合ってください。
- 現在、従業員がどのように感じているか
- 従業員のキャリア目標の進捗状況
- 従業員の仕事のパフォーマンス
- 従業員が目標を達成するうえで障害となっているものがあるかどうか
フォローアップクエスチョンとしては、次のようなものが挙げられます。
- 仕事をしていて、やる気と熱意を与えてくれるものは何ですか?
- もっと時間をかけて行いたい仕事や活動はありますか?
- 仕事を遂行するために必要なものはすべて揃っていますか?
- もし仕事内容を変更できるなら、何を変更したいですか?
- 仕事やキャリアチャンスについて心配していることはありますか?
- あなたの雇用に対する期待は現実的ですか?
- 会社が改善できることはありますか?
3. 従業員ネットプロモータースコア(eNPS)
従業員ネットプロモータースコア(NPS)は、従業員が企業に対してどのような感情を持っているかを測定します。
NPSは、従業員一人ひとりに次の質問をするだけで算出されます。「0から10段階中、あなたの会社を職場として他人にどの程度おすすめしたいですか?」
回答に基づいて、従業員は次の3つのグループに分類されます。
批判者
0から6の回答をした人は批判者です。彼らは仕事に満足しておらず、おそらく片足をドアから出している状態で、いつでも辞める準備ができています。
批判者は経営陣に対して、どうやったら企業が改善できるかについてたくさんのヒントを与えてくれます。
無関心者
7または8と回答した人は無関心層です。彼らは企業に対して特別な感情は持っていません。
そんな彼らが批判者になってしまうのを避けることが重要です。批判者ではなく、推奨者に変えるための施策を講じましょう。
推奨者
9または10と回答した人は推奨者です。彼らは、企業が現時点で順調に行っていることについての洞察を共有できます。
企業はこの従業員満足度調査を、以下の公式を使って測定します。
推奨者の割合から批判者を引きます。
eNPS = 推奨者の割合 − 批判者の割合
これにより、−100から100までのスコアが得られます。
プラスのスコアは良いスコアと考えられます。マイナスのスコアは、企業が従業員満足度に関して取り組むべき課題があることを示しています。
4. 欠勤率
欠勤率の高さは、マネジメントがうまくいっていないこと、劣悪な労働環境、ワークライフバランスの欠如など、いくつかの問題を示唆している可能性があります。
また、従業員満足度が低いことの表れである可能性もあります。
仕事を休むと、その人の仕事を補わないといけないというプレッシャーをほかの従業員に与えてしまいます。
これは企業全体に波及し、従業員のストレスの増加と仕事に対する満足度の低下につながります。
従業員の欠勤が急に増えてきたら、それは早急に対応する必要がある危険信号です。
欠勤率が平均よりも高い従業員に、なぜ休みが多くなっているのか聞いてみてください。
また、その状況を明らかにするのに役立つ情報を何か持っていないか、管理職やほかの従業員に相談してみましょう。
5. 従業員満足度指数(ESI)
従業員満足度指数(ESI)は、従業員の仕事に対する満足度を測定します。
ESIを測るには、次の質問をします。
- 職場にどれくらい満足していますか?
- 職場はあなたの期待にどれくらい応えられていますか?
- 職場はあなたの理想の仕事にどれくらい近いですか?
従業員に各質問に対して1から10までの評価で回答してもらうと、ESIが算出されます。
ESI = (((質問の平均値/3) − 1 x 100) / 9)
結果は1から100までの数値となり、数値が高いほど、職場に対する満足度が高い従業員が多いことを示しています。
6. 離職率
従業員が職場に満足していないと、別の仕事を探し始める可能性があります。
従業員が離職すると、雇用主は多くのコストを払うことになります。生産性が低下したり、職場が混乱したり、ほかの従業員に悪影響が及んだりするのです。
従業員が今の雇用状況に満足しているほど、転職する可能性は低くなります。
逆に言うと、離職率が高いということは、企業に問題があるということを示しているのです。
その場合、管理職と経営者が力を合わせなければなりません。
従業員は自分の仕事を評価されたい、やりがいを感じたいと思っています。
またほとんどの従業員は、互いにポジティブな関係を築きたいと考えています。
従業員満足度を測定するのに最もよく使われている7つのKPI
以下は、雇用主が最もよく使用する従業員満足度測定ツールの例です。
1. Glassdoorによる評価
Glassdoorは最も人気があり、権威のある雇用主レビューサイトの一つです。
サイト上の従業員満足度評価は、0〜1.5の「非常に不満」から、4〜5の「非常に満足」までとなっています。
このウェブサイトはアルゴリズムを使用しており、最新の雇用主レビューが目立つように表示されます。
そのため、サイト訪問者は企業に関する最新の満足度スコアを得ることができます。
また、元従業員がその企業での勤務に関するコメントを投稿することも可能です。
2. 気軽な会話
従業員満足度を測定するのにうってつけの方法は、従業員本人に直接聞いてみることです。
休憩時間などを使い、仕事に対する気持ちについて、従業員とざっくばらんに話をしてみましょう。
たとえば管理職がランチやコーヒーに誘ってもいいでしょう。
会話がスムーズに進むように、話しやすい管理職を選ぶようにしてください。
以下は、こうした気軽な会話のなかで尋ねることができる質問の例です。
- 企業がうまく行っていると思うことは何ですか?
- 仕事のなかでうまくいっていないと感じる部分はどこですか?
- もし仕事内容を変更できるなら、何を変更したいですか?
- 好きな仕事で、もっとしたいと思う仕事はありますか?
- 職場でもっとできたらいいなと思うことは何ですか?
- チームはうまく連携して働けていると思いますか? なぜそう思うのか、またはそう思わないのかを教えてください。
- 5年後もこの会社で働いていると思いますか? なぜそう思うのか、またはそう思わないのかを教えてください。
3. 提案ボックス
シンプルな方法として、従業員に企業を改善するアイデアを書いてもらい、提案ボックスに入れてもらうという方法もあります。
筆跡で自分が書いたとばれるのが心配な人は、匿名性を保つために印刷したものを入れられます。
提案ボックスはオンライン上に設けることもできます。
企業を改善する方法について、従業員が匿名で意見を共有できるオンライン提案箱をセットアップしましょう。
オンライン提案ボックスのメリットは、モバイルデバイスを使ってどこからでもアクセスできることです。
4. 業績評価
業績評価は、企業を経営するうえで欠かせないものです。業績評価を行うことで進捗状況を把握し、ビジネス目標を設定しやすくなります。
従業員と定期的にミーティングを行っている企業は、多くの場合、職場の士気や職場文化を把握するのに、ミーティングが最も適した方法であることに気づきます。
業績評価は、生産性に関する懸念に対処するため、その解決に向けた計画を話し合う機会です。
またこの業績評価の際に、仕事の再割り当てや従業員開発戦略について、従業員が自由に話し合うこともできます。
5. 社内昇進率
Society for Human Resource Managementの報告書によると、回答者のうち、現在の雇用主が出している求人に「非常に満足」していると回答したのはわずか19%でした。
29%は、「昇進の機会」に「ある程度満足」していると回答しています。
同じ調査では、従業員の40%が、現在の雇用主のもとでのキャリアアップが、仕事の満足度にとって「非常に重要」であると回答しています。
社内昇進率は、昇進の機会に対するパフォーマンスの指標です。
昇進率=(昇進者数 / 従業員総数) x 100
社内昇進率を測定することは、企業が従業員に投資する意欲があるということを意味します。
これはビジネスに成長の機会があることを示しているため、従業員の定着率と満足度の向上につながる可能性があります。
6. 社内での定着
従業員満足度と従業員エンゲージメントを判断する優れた方法は、新規採用者の試用期間後に、彼らをどれだけうまく定着させられたか振り返ってみることです。
彼らが試用期間中、または採用後数ヶ月以内に退職した場合、それは人事チームが以下の項目を少なくとも一つ以上評価する必要があることを示しています。
- 企業文化
- 雇用プロセス
- 新人教育の手順
7. 退職面談
退職面談を行うことで従業員満足度に関する洞察を得ようとするのは、おかしなことに思えるかもしれません。
しかし、退職を申し出た従業員が、人事部に対して正直にならない理由がありません。
企業として改善できることがあるか聞いたとき、その従業員は企業が実行できるような貴重な考えを持っている可能性があるのです。
また、退職する従業員は、企業がうまく行っていることについても意見を述べることができます。
具体的に言うと、仕事を半分辞めかけている従業員は、自分の仕事を改善するために何ができるか考えることができます。
また、「企業があなたを引きとめるには何ができたでしょうか?」という質問に答えられます。
従業員が転職する理由(配偶者の転勤、家族の責任、復学、自宅から近くて給料の高いポジション/仕事など)はさまざまであるということを、心に留めておかなければなりません。