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eNPSを向上させる5つの施策|離職を防ぎ「選ばれる組織」を作る具体策を解説

最終更新日:2026.03.31
eNPSを向上させる5つの施策|離職を防ぎ「選ばれる組織」を作る具体策を解説

近年のビジネス環境において、人的資本経営の重要性が叫ばれる中、企業の持続的な成長を支える指標として「eNPS(従業員推奨度)」が大きな注目を集めています。eNPSは、単なる従業員の満足度を測る指標ではなく、自社をどれほど信頼し、誇りを持って周囲に勧められるかという「エンゲージメント」を可視化するものです。

この記事では、eNPSの基本的な考え方から、スコアが低い組織の共通課題、そして具体的な改善アクションまでを詳しく解説します。企業の成長を担う優秀な人材に「選ばれ続ける会社」になるための秘訣を探っていきましょう。

eNPS(従業員推奨度)向上が注目される理由

eNPSとは「Employee Net Promoter Score」の略称で、親しい友人や知人に自分の職場をどの程度勧めたいかを数値化した指標です。かつて主流だったES(従業員満足度)調査は、福利厚生や給与といった与えられた環境への満足度を測るものでした。しかし、満足しているからといって、必ずしも主体的に貢献したい、あるいは会社を応援したいと考えているとは限りません。

これに対してeNPSは、周囲への「推奨」を問うため、より深い愛着心や信頼関係が反映されます。人的資本経営が進む現代において、従業員は単なる労働力ではなく、価値を創造するパートナーとして捉えられています。そのため、従業員の主体的なエンゲージメントを把握できるeNPSは、組織の健全性を測る重要なバロメーターとなっているのです。

eNPSと離職率・生産性の相関関係

eNPSのスコアは、企業の経営数字とも密接に関係しています。多くの調査研究において、eNPSが高い組織ほど離職率が低く、反対に生産性が高いというエビデンスが示されています。これは、会社を周囲に勧めたいほど誇りに思っている従業員は、仕事に対して当事者意識を持ち、自発的に成果を出そうとする意欲が高いためです。

また、離職の抑制は採用コストや教育コストの削減に直結し、組織全体のノウハウの蓄積を加速させます。このように、eNPSを向上させることは、福利厚生を充実させるだけの一時的な施策ではなく、企業の競争力を高めるための本質的な投資であると言えるでしょう。

ES調査(満足度)との決定的な違い

eNPSとES調査の最大の違いは、質問の性質にあります。ES調査は「今の環境に満足していますか」という受動的な視点での問いが中心ですが、eNPSは「他人に勧めますか」という能動的な行動意欲を問います。他人に勧めるという行為には責任が伴うため、従業員は自分の会社をより厳しく、かつ本質的に評価することになります。

「満足はしているけれど、友人には勧められない」というギャップがある場合、そこには表面化していない組織の課題が隠れている可能性があります。この、満足の先にある「推奨したいという熱量」を見える化できる点こそが、eNPSが多くの企業で採用されている理由です。

eNPSスコアが低い組織に共通する3つの課題

eNPSのスコアが伸び悩んでいる組織には、いくつかの典型的なボトルネックが存在します。まず、多くのケースで見受けられるのが、経営理念やビジョンの浸透不足です。会社がどこを目指しているのか、自分たちの仕事が社会にどう貢献しているのかが不透明な状態では、従業員は会社に対して誇りを持つことができません。

次に、現場でのマネジメントや人間関係の硬直化も大きな要因です。日々の業務において上司との信頼関係が築けていなかったり、意見を言いにくい雰囲気であったりすると、どれだけ制度を整えても推奨度は向上しません。最後に、労働環境や評価制度への不満も無視できませんが、これは単に「給与が低い」といったことよりも、「評価基準が不透明である」という不公平感から来るものが多いのが特徴です。

1. 経営理念・ビジョンの浸透不足

会社が進むべき方向に共感できないことは、従業員の推奨度を下げる最大の要因となります。特に変化の激しい現代では、目先の利益だけでなく、企業としての存在意義(パーパス)が問われています。トップの言葉が現場まで届いていなかったり、形骸化したスローガンだけが掲げられていたりすると、従業員は「この会社で働き続ける意味」を見失ってしまいます。

2. 現場マネジメントと人間関係の硬直化

現場における心理的安全性の欠如は、eNPSを著しく低下させます。特に直属の上司との関係性は、従業員のエンゲージメントに多大な影響を及ぼします。適切なフィードバックがなく、ミスを過度に責めるような文化が根付いている組織では、従業員は守りに入り、会社をポジティブに捉えることができなくなってしまいます。

3. 労働環境・福利厚生への不満

意外にも、eNPSが低い理由として挙げられる「環境への不満」の本質は、制度の有無ではなく、その運用における不透明さにあります。リモートワークや時短勤務が制度としてあっても、周囲の目が気になって利用できない、あるいは成果を出しても正当に評価されないといった不公平感が、組織への信頼を損なう原因となるのです。

関連記事:エンゲージメント低下の構造的背景とは?数値に表れない「静かな変化」を読み解く

eNPSを向上させる具体的な5つのアクション

eNPSを向上させるためには、表面的な改善ではなく、組織の土台を固める実行プランが必要です。まず取り組むべきは、社内のコミュニケーションの質を抜本的に変えることです。1on1ミーティングの形骸化を防ぎ、上司と部下が本音で対話できる環境を整えることが第一歩となります。

また、企業理念を言葉だけで終わらせず、日々の業務に落とし込むためのワークショップや、貢献を称え合う仕組みの導入も有効です。さらに、ライフステージに合わせた柔軟な働き方の支援や、個人の成長を促す研修制度の充実も、長期的な推奨度向上に寄与します。ここでは、具体的かつ実効性の高い5つのアクションを整理していきます。

心理的安全性を高めるコミュニケーション改善

組織全体の風通しを良くするためには、まずは「何を言っても大丈夫だ」という心理的安全性を醸成することが不可欠です。具体的には、1on1のガイドラインを整備して対話の質を高めるとともに、社内SNSなどを活用したピアボーナス制度の導入が効果的です。日常の小さな貢献を可視化し、称賛し合う文化を作ることで、従業員同士の連帯感が強まります。

企業理念(パーパス)の再定義と自分事化

経営層が発信するビジョンを「自分事」として捉えてもらうためには、双方向の対話が必要です。全社向けのタウンホールミーティングを開催するだけでなく、部署単位でのワークショップを通じて、自身の業務が会社のビジョンとどう繋がっているのかを言語化する機会を設けましょう。意味を感じて働くことは、推奨度を高める強力な原動力になります。

公平性の高い人事評価制度へのアップデート

評価への納得感を高めることは、組織への不信感を取り除くために避けては通れません。評価基準を明確に公開し、なぜその評価に至ったのかというプロセスを透明化することが求められます。結果だけでなくプロセスや行動特性(コンピテンシー)も評価の対象に含め、納得感のあるフィードバックを行う体制を構築してください。

ワークライフバランスと柔軟な働き方の拡充

従業員が安心して働き続けるためには、個々のライフステージに合わせたサポートが重要です。リモートワークやフレックスタイム制といった制度を、単に「導入する」だけでなく、実際に誰もが気兼ねなく利用できる風土を醸成しましょう。個人の生活を尊重する姿勢を見せることは、会社への信頼を深めることに直結します。

成長機会(リスキリング)の提供

自分のキャリアがこの会社でどう描けるのかが見えることも、重要な推奨ポイントです。最新のスキルを習得するためのリスキリング支援や、希望する部署に手を挙げられる社内公募制度の充実は、従業員の成長意欲を刺激します。「この会社にいれば成長できる」という実感は、周囲への強い推奨理由となります。

スコア測定を「やりっぱなし」にしない運用ポイント

eNPS調査で最も避けるべきは、数値を測定するだけで終わってしまうことです。調査結果を公表せず、改善策も示されないままだと、従業員は「回答しても何も変わらない」と感じ、次回の回答意欲を失ってしまいます。

測定後は速やかに結果を分析し、組織の強みと課題を全社に共有することが大切です。また、数値の裏側にある「なぜそう答えたのか」という定性的なコメントにこそ、真の課題解決のヒントが隠されています。改善のプロセスを従業員に見せ続けることで、初めて調査は意味を持ち、組織の成長サイクルが回り始めます。

回答結果の分析と優先順位の付け方

eNPSの数値そのものに一喜一憂するのではなく、フリーコメントに含まれるキーワードを分析しましょう。例えば「給与への不満」という言葉があったとしても、その背景に「評価基準が不明確」という本質的な課題があるかもしれません。抽出された課題に対しては、影響範囲と緊急度を考慮し、まずはどこから改善に着手すべきか優先順位を明確にすることが重要です。

現場へのフィードバックと改善サイクルの構築

調査結果は、良い点も悪い点も包み隠さず全社にフィードバックすることが望ましいです。経営陣だけで対策を練るのではなく、各現場のマネージャーやメンバーを巻き込み、「どうすればもっと良くなるか」を議論する場を設けてください。この「対話」のプロセス自体が、従業員の当事者意識を高めるきっかけとなります。

定期的なパルスサーベイとの組み合わせ

年1回の詳細なeNPS調査だけでなく、数問程度の簡便な「パルスサーベイ」を月次や四半期ごとに実施することも検討しましょう。短期的な変化を追うことで、実施した施策の効果をリアルタイムで把握でき、スピーディーな軌道修正が可能になります。定点観測を続けることで、組織のコンディションを常に良好に保つことができます。

関連記事:組織コミットメントとエンゲージメントの違いとは?企業成果を高める実践施策を解説

まとめ:eNPS向上は「選ばれる会社」になるための第一歩

eNPS(従業員推奨度)を高める取り組みは、単なる離職防止の手段にとどまりません。従業員が誇りを持って自社を語れるようになることは、最強の採用ブランディングであり、顧客へのサービス品質向上にも直結する持続可能な組織作りの根幹です。

数値の改善を急ぐのではなく、まずは従業員の声に真摯に耳を傾け、一つひとつの課題に対して誠実に向き合う姿勢こそが求められます。従業員が「この会社を友人に勧めたい」と心から思える組織へと変わっていく過程こそが、企業の真の成長を支える力となるはずです。

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