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更新日:
2025-04-20

ビジョン共有とは?メリットや流れ・手法などを一挙解説

この記事を書いた人
Yuko Kobayashi
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目次

企業活動を成功させるには、従業員のモチベーションとチームワークが欠かせません。これらを維持する方法はいくつかありますが、給与などのインセンティブだけでは限界があります。

そこで活用したいのがビジョン共有です。ビジョン共有に成功すれば、従業員は自主的に業務に取り組み、ビジョンの実現に向けチームは一致団結するでしょう。

しかし、それに向けた施策やポイントを把握していなければ、思うようにビジョン共有が進まないこともあります。

そこで今回は、ビジョン共有の意味やメリットに加え、流れやポイントなどを解説します。

ビジョン共有とは

ビジョンは、企業が目指す理想的な未来像や展望を示す経営用語です。組織の方向性を示す指針として、将来に向けた具体的な目標や夢を表現します。

ここでは、ビジョンの類語について、以下の3点を解説します。

  • パーパス
  • ミッション
  • バリュー

1つずつ見ていきましょう。

パーパス

ビジョンの類語の1つ目は、パーパスです。

パーパスは、企業の社会的存在意義を示します。その組織が社会にとってなぜ必要なのかを表現するものです。

ミッション

ビジョンの類語の2つ目は、ミッションです。

組織が果たすべき使命や役割を示します。企業活動の根幹となる目標や取り組むべき課題を明確にするものです。

バリュー

ビジョンの類語の3つ目は、バリューです。

組織で共有される価値観や行動指針を示します。日々の業務で、判断や行動の基準として使われています。

ビジョン共有のメリット

ここでは、ビジョン共有のメリットについて、以下の3点を解説します。

  • 生産性向上
  • 従業員の自主性向上
  • ステークホルダーへのPR

1つずつ見ていきましょう。

生産性向上

ビジョン共有のメリットの1つ目は、生産性向上です。

従業員が明確なビジョンをもつことで、自身の存在価値を実感し、業務へのモチベーションが高まるでしょう。結果として、離職率の低下や優秀な人材の確保にもつながり、組織全体の生産性向上に寄与します。

関連記事:生産性向上は企業活動で重要!業務効率化との違いや手法も解説

従業員の自主性向上

ビジョン共有のメリットの2つ目は、従業員の自主性向上です。

ビジョンを現実的目標として活用することで、従業員の主体的行動を促します。
共通のビジョンに基づいて意思決定を行うことで、部署や業務が異なっていても、組織全体が一貫した方向性をもって進めるでしょう。

ステークホルダーへのPR

ビジョン共有のメリットの3つ目は、ステークホルダーへのPRです。

明確なビジョンを示せれば、顧客・株主・取引先・地域社会に対し、自社のサービスがもたらす未来像を具体的に伝えられます。

PR時には、継続的なコミュニケーションと説明責任を果たすことがポイントです。

ビジョン共有の流れ

ここでは、ビジョン共有の流れについて、以下の5点を解説します。

  • 認知
  • 理解
  • 共感
  • 実践
  • 協働・影響

1つずつ見ていきましょう。

認知

ビジョン共有の流れの1つ目は、認知です。

認知の段階では、経営理念・経営方針・ビジョン・ミッションを従業員が知ることから始まります。
多くの企業がいろいろな手段を用いて、これらの理念等の周知を目指していますが、単なる存在の認知に留まっているケースも少なくありません。

理解

ビジョン共有の流れの2つ目は、理解です。

理解の段階では、一方的な情報発信から双方向のコミュニケーションへと発展させる必要があります。
ビジョンと実際の業務との関連性を明確にし、従業員が自分ごととして捉えられるように働きかけることが大切です。

共感

ビジョン共有の流れの3つ目は、共感です。

共感の段階では、単なる理解から踏み込んで、従業員が企業の描く未来に自身の姿を重ね合わせられるかがポイントになります。
この過程では、共感を引き出すためのストーリーづくりが重要です。以降のプロセスの成否を左右することもあるでしょう。

実践

ビジョン共有の流れの4つ目は、実践です。

実践の段階では、共感したビジョンを具体的な行動へと移します。
理念の共有に留まらず、実務における具体的行動指針・評価基準として落とし込むことで、組織全体での実践を促進しましょう。

協働・影響

ビジョン共有の流れの5つ目は、協働・影響です。

協働・影響の段階では、ビジョンに基づき業務を実践し、そこから組織内の協力関係を強化していきます。
ビジョンを対外的ブランド価値へと昇華できれば、社会的な影響力をもつことにもつながるでしょう。

ビジョン共有の手法

ここでは、ビジョン共有の手法について、以下の3点を解説します。

  • 評価制度・表彰制度
  • コミュニケーションを促進する仕組みづくり
  • 研修

1つずつ見ていきましょう。

評価制度・表彰制度

ビジョン共有の手法の1つ目は、評価制度・表彰制度です。

企業のビジョンを実効性のあるものにするには、評価の仕組みづくりが欠かせません。
具体的には、ビジョンに沿った行動や成果を上げた従業員を正当に評価し、報奨を与えることが、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。
また、ビジョン実現に大きく貢献した従業員への表彰制度を設けることで、受賞者の自信を高められます。

このことは、他の従業員への良い刺激となり、組織全体のビジョン実現に向けた取り組みを促進できるでしょう。

コミュニケーションを促進する仕組みづくり

ビジョン共有の手法の2つ目は、コミュニケーションを促進する仕組みづくりです。

ビジョンの効果を十分引き出すためには、ビジョンが全従業員の心に深く浸透する必要があります。定期的なミーティングやフィードバックセッションを通じて、従業員同士がビジョンに関係する対話をできる機会を設けることが効果的です。

このような場であれば、従業員からの意見や感想を直接聞け、ビジョンの具体的な実現方法についてのアイディアを共有できます。
さらに、オープンなコミュニケーションが奨励される企業文化を醸成すれば、従業員の自発的な意見共有が促進され、ビジョンの浸透が一層進むでしょう。

関連記事:職場ではコミュニケーションの重要性が見逃せない!促進する手法やポイントも解説

研修

ビジョン共有の手法の3つ目は、研修です。

ビジョンをより深く理解して実践できるようにするためには、体系的な研修プログラムが有効です。研修を通じて、従業員はビジョンの背景にある本質的意義や価値について学び、それを実際の業務にどう反映させるか具体的な方法を習得できるでしょう。

定期的に研修を実施することで、従業員はビジョンに対し一層理解が深まり、日々の業務で実践的な行動を取れるようになります。

ビジョン共有のポイント

ここでは、ビジョン共有のポイントについて、以下の3点を解説します。

  • 市場等の現状把握
  • 価値観・行動指針の明確化
  • 長い目での取り組み

1つずつ見ていきましょう。

市場等の現状把握

ビジョン共有のポイントの1つ目は、市場等の現状把握です。

ビジョンは時代とともに変化するため、自社の事業環境を客観的に把握する必要があります。

その場合、例えば以下のフレームワークが有効です。

▼現状把握に役立つフレームワーク(一例)
4C分析:顧客目線での分析に有効
4P分析:販売者目線での分析に有効
5F分析:界構造の把握に有効
PEST分析:ビジネス環境を切り口にした分析に有効

価値観・行動指針の明確化

ビジョン共有のポイントの2つ目は、価値観・行動指針の明確化です。

経営層と従業員が一体となって、会社の歴史・伝統・企業文化などについて議論を重ねることで、組織として大切にすべき価値観・行動指針を浮き彫りにできます。

この過程を疎かにすると、後の運用段階で意識のずれが生じる可能性があるため、十分な時間をかけて取り組みましょう。

長い目での取り組み

ビジョン共有のポイントの3つ目は、長い目での取り組みです。

ビジョンは、その性質上定期的な見直しを前提としています。そのため、短期的視点にとらわれず、長い目で取り組むことが大事です。

目標設定についても、現実的な達成可能性を考慮する必要があります。
近い将来における実現可能性を十分に検討し、具体的な形にしましょう。

まとめ

今回は、ビジョン共有の意味やメリットに加え、流れやポイントなどを解説しました。

ビジョンは「企業が目指す理想的な未来像や展望」を示す用語です。類語にパーパス・ミッション・バリューがあります。
ビジョン共有に成功すれば、生産性向上やステークホルダーへのPRを実現できるでしょう。

ビジョン共有は、認知から協働・影響まで手順を踏んで行う必要があります。評価制度や研修などが有効な施策です。市場等の現状をしっかりと把握しつつ長い目で取り組みましょう。

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