社内コミュニケーション
更新日:
2025-05-22

インナーコミュニケーションとは?強化のメリットと実施方法・成功のポイントを紹介

この記事を書いた人
Yuko Kobayashi
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目次

テレワークの普及やデジタル化社会の著しい発展により、オンライン会議やビジネスチャットなど、デジタルツールを介した非対面の方法で業務上のコミュニケーションを取る機会が増えました。

企業における従業員同士のコミュニケーションをインナーコミュニケーションといい、その手法は多様に進化しています。

この記事では、インナーコミュニケーションが注目されている背景や導入することによるメリット、活性化させるためのポイントや便利なツールなどについて詳しく解説します。

インナーコミュニケーションとは?

『インナーコミュニケーション』とは、従業員同士が社内で取るコミュニケーション全般のことです。インナーコミュニケーションを取る目的は、従業員全員に企業理念や共通認識を浸透させることで、個人間の交流だけでなく従業員同士の結束が固くなることが期待できるでしょう。社内報や社内SNS、懇親会など社内イベントがこれにあたります。

インナーコミュニケーションが活性化すれば、従業員ひとりひとりに当事者意識がつき、業務に意欲的に取り組むようになるためエンゲージメントが向上したり、離職率が低下したりといった効果が期待できます。

コミュニケーション方法が多様化した現代社会では、インナーコミュニケーションを活発にするためには組織や業務スタイルに合った施策が不可欠です。

インターナルコミュニケーションとの違い

インナーコミュニケーションと似た言葉で、よく使われているのが『インターナルコミュニケーション』です。日本では両方とも「社内で従業員同士が取るコミュニケーション」のことを言いますが、アメリカをはじめとする諸外国では明確に使い分けています。

インターナルコミュニケーションは『インターナル』の言葉通り、部署間・従業員間での情報共有を主な目的としており、組織全体のエンゲージメント向上に焦点を当てたコミュニケーションです。

一方、本記事で紹介するインナーコミュニケーションは、『インナー』の意味の通り、従業員同士の対話を中心としたコミュニケーションであり、個人の成長や相互理解に焦点を当てています。

インナーコミュニケーションが注目されているきっかけ

新型コロナウイルスによるパンデミック以降、テレワークが普及して各々の業務をそれぞれの場所で遂行する機会が増えました。これにより、オンラインチャットやオンライン会議などデジタルツールを介した非対面のインナーコミュニケーションが増えました。その結果、従来の対面でのインナーコミュニケーションが難しくなるという課題が生じました。

これまでは、オフィスで対話しやすい環境やシステムを作ることで、インナーコミュニケーションを活性化させていましたが、これからはテレワークを前提としたインナーコミュニケーション方法が必要不可欠です。よって、社会全体で新たなインナーコミュニケーション施策が必要であると注目されるようになりました。

インナーコミュニケーションの必要性が高まる3つの背景

ここではインナーコミュニケーションの重要性が高まっている3つの背景について、それぞれ詳しく解説します。

  • 仕事への価値観が変化
  • 働き方が変化
  • 高まるエンゲージメントの必要性

仕事への価値観が変化

現代社会では終身雇用制が当たり前だった従来と異なり、キャリアのために転職する人が増え、人材の流動性が高まっています。従業員が企業理念や価値観、目指すゴールが曖昧なまま業務を遂行していると、やりがいが感じられず転職してしまう原因になり、結果として従業員の定着率低下につながるでしょう。

人材の流動性が高い現代社会では、インナーコミュニケーションを活性化させることで改めて企業理念や価値観、業務の意義やプロジェクトの方針を従業員ひとりひとりに浸透させる必要があります。

また、中途採用の人材が増えたことで、これまでは新入社員教育で周知していた企業理念や価値観などを改めて従業員に説明して浸透させたいというニーズが増えています。

働き方が変化

テレワークの普及やワークライフバランスに対する考え方が変化したことにより、従業員の働き方は完全フルリモートや、週の半分だけフルリモートなど多様に変化しました。これまで職場で対面してやり取りするインナーコミュニケーションの機会が減り、今後は業務に必要な報告・連絡・相談が十分にできなくなるといった場面が増えるでしょう。

現代社会では多様な働き方に適応し、また従業員同士が気軽に取れるインナーコミュニケーション方法が模索されるようになり、その重要性が注目されています。

 高まるエンゲージメントの必要性

仕事への価値観や働き方が多様に変化した現代社会では、従業員と企業の関係性、つまりエンゲージメントを高めておかないと、従業員の離職や生産性の低下につながる恐れがあります。これを防ぐためにはインナーコミュニケーションを活発化させ、従業員ひとりひとりに企業のビジョンや業務の目標、プロジェクトの進捗を共有し、企業にとって必要不可欠な人材であると認識してもらいモチベーションを向上させることが必要です。

多様に変化する働き方や価値観に合わせてインナーコミュニケーションを活性化させると、企業と従業員のエンゲージメントを向上させることで、双方にとってメリットのある関係性を築くことができます。

インナーコミュニケーションを高める4つのメリット

ここではインナーコミュニケーションを高めることで得られる4つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

企業ビジョン・理念の浸透

インナーコミュニケーションを活性化することで、企業ビジョンや理念、経営方針を従業員全体に浸透させることができます。これにより、従業員全員が企業が掲げる中長期目標を把握できるようになり、業務上のあらゆる選択で明確な指針として機能するでしょう。

また、新規プロジェクトの提案や人材採用での選考においても基準が明確となるため、インナーコミュニケーションを高めることで従業員全員が企業の掲げるゴールに向かって足並みを揃えられます。

従業員のモチベーション向上

インナーコミュニケーションが活性化すれば、従業員ひとりひとりが企業のビジョンや価値、プロジェクトの方針などをしっかり把握することができ、当事者意識と責任感を持って業務の遂行ができるようになります。

また、孤独を感じている従業員が減ることで従業員同士の連携が強くなり、チーム意識を持って業務を遂行できるようになり、結果として従業員のモチベーション向上につなげることができるでしょう。

離職率の低下

インナーコミュニケーションが活性化すれば、従業員同士の何気ない会話が気軽にできるようになり、お互いにサポートし合って業務上の手助けやストレスを低減することができます。

また、業務を遂行するチームの一員としての意識が高まり、結果的に従業員の満足度向上につながります。

このように、インナーコミュニケーションの活性化により、従業員の離職を防ぐ効果が期待でき、結果として離職率の低下につながります。

業務の効率化

インナーコミュニケーションが活性化すれば、業務遂行に必要な報告・連絡・相談がしやすくなり、情報伝達漏れや他部署との連携不足、余計な工程に時間を費やしてしまうなどのミスを防ぐことができます。

また、何気ない会話で気分転換ができ、仕事にメリハリがつけられることで集中力を高めることが期待できます。このように、インナーコミュニケーションを高めることで業務の効率化につなげられるでしょう。

インナーコミュニケーションの活性化を成功させる4つのポイント

インナーコミュニケーションのメリットについて解説したので、ここではこれを活性化させるための4つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。

企業の課題を整理

インナーコミュニケーションを活性化させるためには、まず現状のコミュニケーションに関する課題を整理して、不足を補う施策が必要不可欠です。

例えば、テレワークが主流な職場で対話が足りないと感じる場合はショートメッセージで気軽にやり取りができるビジネスチャットを導入する、テレワークは少ないものの従業員が個々のタスクに追われている場合は、それぞれの進捗を見える化してお互いにサポートし合えるようにオフィス環境を工夫する、などといったことが必要となります。

まずは従業員同士の意見交換やアンケートを実施し、現状の課題を整理してからインナーコミュニケーションを活性化させる方法を模索してください。

社員にとって役立つ情報の発信

インナーコミュニケーションを上手く機能させるためには、従業員にとって役にたつ情報を発信する必要があります。

例えば、部署を跨いだチームで業務を遂行する場合、プロジェクトの方針や意義、目標、顧客との関係や各々のタスクや進捗状況などをわかりやすく発信し、それぞれの項目に対して気軽に質問や議論ができるようすることで、大規模なチームでも従業員ひとりひとりが当事者意識を持って取り組むことができるでしょう。

また、過去の事例に関して当事者に気軽にチャットなどで質問できるようにすれば、企業の持つノウハウを有効に活用できます。

インナーコミュニケーションを活性化させる際は、従業員にとって役にたつ情報を抜け漏れなく発信できるようにすると良いでしょう。

社員の協力を得る

上司から部下、先輩から後輩など一方的な交流になったり、一部の従業員だけが交流し合うだけでは、インナーコミュニケーションのメリットを十分に享受することができません。インナーコミュニケーションは従業員全体が双方向に交流する必要があるため、それぞれの意見やアイデアを交換し、進捗やサポート要請などができる仕組みや環境作りが必要です。

このためには、インナーコミュニケーションの意義や組織内でどう交流するかを説明し、従業員の協力を得ることが重要です。従業員ひとりひとりが協力し合える仕組みや、環境を作ってインナーコミュニケーションを高め、信頼関係の構築を進めてチーム全体の結束を強めるように心がけてください。

複数の施策を検討

働き方や仕事への価値観が多様に変化する現代社会において、インナーコミュニケーションは重要視されています。よって、インナーコミュニケーションを活性化させる施策も多様性が必要であり、複数の仕組み・環境を検討することが重要です。

例えば、オンライン上でのチャットやSNSで交流する場を設けるだけでなく、オフィスに談話スペースやフリーアドレスを導入するなどして、対面・非対面におけるインナーコミュニケーションの仕組みを作ればテレワークで働く従業員も出勤した際に気兼ねなく交流できるようになります。

このように、従業員それぞれの働き方や要望に合わせて、複数の施策を検討してインナーコミュニケーションの活性化を図ってください。

インナーコミュニケーションを活性化する方法

ここでは実際に組織内でインナーコミュニケーションを活性化させるための4つの方法について、それぞれ詳しく解説します。

社内ポータルの作成

社内ポータルとは、業務に必要な情報やアプリケーションやファイル、部署・従業員の紹介や実績などを共有する社内専用のWebサイトのことです。

社内ポータルには従業員に把握してほしい企業理念やビジョン、プロジェクトの方針や従業員それぞれの自己紹介やノウハウ・得意分野、部署ごとの実績や特色など幅広い情報を共有できます。

社内ポータルでインナーコミュニケーションを活性化させるためには一方向の発信にならないようコメント機能をつける、従業員や部署紹介のページからビジネスチャットで交流できるようにする、動画やブログ形式で情報発信して従業員が興味を持ちやすくするなどといった工夫が必要となります。

コミュニケーションツールの活用

業務に必要な情報を共有し、意見やアイデアを伝達できるアプリケーションがコミュニケーションツールです。これまでは電話や電子メールがコミュニケーションツールの主流でしたが、現代社会ではショートメッセージでやり取りできるビジネスチャットやビジネスチャットやファイル・スケジュール共有機能、オンライン会議システムや社内SNSなどが一般に使われています。

インナーコミュニケーションを活性化するには、出社・リモート勤務に関係なく誰でも気軽に使えるコミュニケーションツールを活用することが有効です。

従業員に取って扱いやすく、必要な情報をやり取りできるコミュニケーションツールを導入してインナーコミュニケーションの活性化を図ってください。

オフィス環境の整備

テレワークが普及した現代だからこそ、オフィスに出勤した際に対面でのコミュニケーションを促進する環境を整えることが重要です。

例えば、給湯室や自動販売機の前にテーブルと椅子を設置して対話しやすいスペースを作る、タスクや進捗状況を表したマグネットスペースを作る、社内カフェで業務を遂行できるようにして他部署の人と交流しやすくする、などという工夫が多くの企業で採用されています。

オフィスのレイアウトなどを工夫し、動線を変えることでインナーコミュニケーションが活発になります。従業員の意見を取り入れながら、インナーコミュニケーションを楽しみにして出社できるような環境作りをしてみると良いでしょう。

定期的な1on1の実施

1on1とは1対1で行うミーティングのことで、主に上司と部下の間で実施します。インナーコミュニケーションを継続的に活性化させるためには、従業員にとって必要な情報を発信でき、かつ気軽な方法で交流できるシステムや環境作りが必要不可欠です。このため、定期的に上司と部下の間で1on1を実施し、現状のインナーコミュニケーションに満足しているか、課題がないか把握することが重要です。

また、定期的な1on1では従業員同士が積極的に交流するように促し、部下が抱える悩みや業務状況を把握することも重要です。対面・オンラインのどちらでも良いので、定期的に部下の話を聞き、企業におけるインナーコミュニケーションの活性化の役に立ててください。

インナーコミュニケーションに役立つツール

ここではインナーコミュニケーションに役立つ5つのツールについて、それぞれ詳しく解説します。

社内SNS

社内SNSとは社内限定で運用されるチャット・掲示板・ファイルアップロードなどの機能を備えたソーシャルネットワーキングサービスです。

現代社会ではSNSの普及が著しく、個人間の私的なコミュニケーションに電話やメールを使っている人が少なくなっています。このため、SNSの扱いに慣れている従業員が多数の場合は社内SNSを導入することで円滑なインナーコミュニケーションを図れるでしょう。

ビジネスチャット

ショートメッセージでやり取りでき、ツールによっては絵文字やスタンプが使えるものがあるので、ビジネスチャットは従来の電子メールに比べて形式的な挨拶などを省いた気軽に交流ができるツールとしてインナーコミュニケーションの活性化に役立ちます。

テレワーク、オフィス勤務など働く場所を問わずに対面での会話のように使える気軽さから多くの企業で導入されており、ビジネスチャットアプリの種類も多様です。

ナレッジ共有ツール

ナレッジとは企業にとって有益な情報や付加価値のある経験や知識(ノウハウ)のことで、これを従業員全員に共有できるツールがナレッジ共有ツールです。

一般に、文章・タスク管理や情報検索、チームコミュニケーション機能が備わっており、成功事例や専門事例、顧客情報などを共有できます。ナレッジ共有ツールを使うことで必要な情報に簡単にアクセスでき、議論や質問もできるためインナーコミュニケーションの活性化の役に立ちます。

社内ポータルサイト

社内ポータルサイトには業務に必要な情報やノウハウ、従業員同士の交流の場や企業理念や経営方針など、インナーコミュニケーションに必要な情報を掲載することができます。

社内ポータルサイトを手軽に作成できるツールも多くあります。より、インナーコミュニケーションを活発にするには、コメントやチャット機能を搭載して双方向の交流をできる場にする、社内イベントの告知や新しくしたオフィス設備の情報など従業員が交流しやすい情報を掲載するなどの工夫が必要となります。

オフィスサイネージ

オフィスに設置するデジタルディスプレイをオフィスサイネージと呼び、オフィスの入り口やエレベーター、食堂などに設置すれば部署を問わず従業員全員に伝えたい情報を共有することができます。

これまではポスターやチラシなどで発信していた情報を、音声や動画も使って動的に発信でき、リアルタイムで内容が変更できるのが利点です。

従業員は受動的に情報を受け取ることができ、企業理念やプロジェクトの進捗などが浸透しやすいと期待されています。

まとめ

本記事では、インナーコミュニケーションの重要性について、インターナルコミュニケーションとの違いや注目される背景、導入のメリットについて解説しました。

インナーコミュニケーションを活性化させるメリットや成功させるためのポイント、役に立つツールについて詳しく解説しているので、御社にあったインナーコミュニケーション活性化のための参考にしてください。

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