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EXとDXの関係は?従業員体験を変革するデジタル施策と成功事例

最終更新日:2025.09.30
EXとDXの関係は?従業員体験を変革するデジタル施策と成功事例

近年、企業価値を高めるカギとして注目されているのが、従業員体験(EX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)の両立です。EXは社員一人ひとりの働きやすさや成長機会を整える取り組みであり、DXはテクノロジーを活用して業務や組織の仕組みを革新するプロセスです。

この二つを組み合わせることで、従業員の満足度と生産性を同時に高められるだけでなく、離職率の低下やエンゲージメントの向上、人的資本経営の強化といった効果も期待できます。投資家からの開示要求や国際的な人的資本情報の開示基準に対応する上でも、EXとDXの推進は欠かせません。

本記事では、それぞれの定義や注目される背景から、成功事例、具体的なツール、そして導入のポイントまでを徹底解説し、企業が持続的な成長と競争優位を実現するための実践的なヒントを紹介します。

EXとDXとは?その定義と注目される背景

近年の企業経営において、従業員体験(EX: Employee Experience)とデジタルトランスフォーメーション(DX: Digital Transformation)は切り離せないテーマとなっています。

EXは社員が日々の業務を通じて得る体験や働きがいの質を高める取り組みであり、DXは最新のテクノロジーを駆使して業務や組織を抜本的に変革する動きです。これらを両輪として進めることで、従業員満足度と企業の競争力を同時に高める新しい経営スタイルが生まれています。

EX(従業員体験)とDXの関係

EXは、職場環境の快適さやキャリア開発の充実度、心理的安全性の確保などを通じて、従業員が「ここで働き続けたい」と思える価値を提供します。一方でDXは、クラウドやAI、RPA、データ分析などを導入することで、従来の非効率な業務プロセスを改善し、新しいビジネスモデルを構築する取り組みです。

両者を組み合わせると、従業員はルーティン業務から解放され、創造性や挑戦的な業務に集中できるようになり、結果として組織全体のパフォーマンスが向上します。

EXおよびDXが注目される理由

企業がEXとDXの両立に注力するのは、労働人口減少や採用競争の激化といった外部環境の変化に対応するためです。優秀な人材が流出すれば競争力が失われるため、従業員の働きがいやキャリア支援を重視する必要があります。

また、テクノロジーを活用したDXは業務効率化だけでなく、働く場所や時間の柔軟性を高め、リモートワークやハイブリッドワークといった新しい働き方を支える役割を果たします。こうした取り組みが相互に作用し、人材の定着や組織文化の醸成につながるのです。

人的資本経営と投資家開示への影響

近年注目される人的資本経営においても、EXとDXの取り組みは大きな意味を持ちます。従業員エンゲージメントの水準やスキル開発の実績、リスキリング施策の成果などをデータとして開示することは、投資家にとって企業の持続的な成長性を判断する指標となります。

特にISO30414や有価証券報告書における人的資本情報の開示義務化は、企業にとってEXとDXを定量的に示す必要性を高めています。

離職率低下・エンゲージメント向上の効果

EXとDXを同時に推進する企業では、従業員が業務に対して前向きに取り組む姿勢が強まり、エンゲージメントが高まります。テクノロジーによって負担が軽減され、働きがいが高まることで、従業員は長期的に組織に貢献しやすくなります。

その結果、離職率は低下し、採用や育成のコスト削減にも直結します。こうした好循環が企業文化を強化し、持続的に成果を生み出す基盤を築くのです。

DXによるEX推進のメリットと課題

EXとDXを同時に推進することで、従業員体験の質を高めながら組織全体の競争力を強化する効果が期待できます。しかし、その一方で取り組みが思うように浸透しないリスクも存在します。メリットと課題の両方を把握することで、持続的な施策設計が可能になります。

従業員満足度・エンゲージメントの向上

デジタルツールを活用すれば、従業員の声をリアルタイムで収集し、データ分析を通じて傾向や課題を把握しやすくなります。

例えば、定期的なエンゲージメントサーベイやフィードバックアプリを導入することで、現場の声を組織運営に反映できる仕組みが整います。従業員が「自分の意見が会社を変えている」と実感できれば、モチベーションや自己成長意欲が高まり、長期的な定着や活躍につながります。

情報共有や業務効率の改善

DXを通じて構築される情報共有基盤は、部門ごとに分断されがちな知識やデータを一元化し、業務のスピードと質を飛躍的に向上させます。

社内ポータルやワークフローのデジタル化によって、必要な情報がタイムリーに届くため、意思決定の迅速化や顧客対応の精度向上が実現します。さらに、リモートワークやハイブリッドワークの環境下でも、場所や時間に縛られずに働ける柔軟性が確保され、従業員体験がより豊かになります。

課題:EX施策が定着しにくい要因

一方で、EX施策は導入直後の注目度が高いものの、継続的に運用する段階で形骸化しやすいという課題があります。経営層のメッセージが一方通行になれば現場が受け身となり、施策は単なる制度にとどまります。また、データ活用が不十分だと施策の効果が正確に測定できず、改善の方向性も曖昧になりがちです。

さらに、新しいデジタルツールが現場の実情に合わない場合、従業員に負担感を与えてしまい、むしろエンゲージメントを下げるリスクもあります。こうした課題を克服するには、経営層の強いコミットメントと現場の主体的な参加を両立させる仕組みづくりが不可欠です。

関連記事:経営DXとは?成功するための進め方と事例を徹底解説

DXを活用したEXの成功事例

EXとDXを融合した取り組みは、単なる制度改善にとどまらず、企業文化の変革や人的資本経営の実践にもつながります。ここでは国内外で報告されている代表的な事例を取り上げ、自社への応用に役立つポイントを整理します。

大企業での導入事例

ある国内大手企業では、HRテックを導入し従業員サーベイを定期的に実施しました。その結果をデータとして可視化し、人事制度や福利厚生の改善に直結させています。

例えば、キャリア開発支援の仕組みを整えたことで、従業員は「会社が自分の成長を後押ししてくれている」という実感を持ちやすくなり、満足度とエンゲージメントが大幅に向上しました。データを活用して一人ひとりの声を組織全体の変革に結びつけた点が、この事例の成功要因です。

グローバル企業での活用事例

グローバルに拠点を展開する企業では、多言語対応のコラボレーションツールやオンライン会議基盤を導入し、国や地域ごとの情報格差を縮小しました。現地拠点の社員が本社とリアルタイムで意見交換できる環境を整えたことで、地域特有の課題を即座に共有・解決できるようになっています。

結果として、地理的・文化的に多様な組織でありながら、一体感のある企業文化を醸成することに成功しました。DXの力を活用し、グローバル規模でのEX向上を実現した好例といえます。

人的資本開示に活かされた事例

人的資本開示に積極的な企業では、EX施策の成果を定量的に示す取り組みが行われています。従業員サーベイのデータやスキル開発プログラムの実績を投資家向けの資料に組み込み、「従業員への投資が企業価値向上につながる」というストーリーを明確に打ち出しました。

その結果、投資家からの信頼を高めると同時に、社内でも「自分たちの努力が企業成長と直結している」という意識が広がり、エンゲージメントのさらなる向上につながっています。

関連記事:社内DXとは?失敗しない進め方・必要な人材・成功事例まで完全ガイド

DXによるEXを実現するためのツールとソリューション

EXとDXを効果的に推進するためには、単に制度を整えるだけでは不十分であり、現場で活用できるデジタルツールの導入が不可欠です。適切なツールを選定し、相互に連動させることで、従業員体験の質を高めながら組織全体の生産性を向上させることが可能になります。ここでは代表的なソリューションを紹介します。

HRテック(人事システム・サーベイツール)

タレントマネジメントシステムやエンゲージメントサーベイは、従業員のスキル、モチベーション、キャリア志向を定量的に把握できる仕組みです。これにより、適材適所の人材配置や個々に合わせた育成プランの設計が容易になります。

さらに、サーベイの結果を定期的に施策に反映すれば、従業員が「意見が組織運営に反映されている」と実感でき、エンゲージメントの向上につながります。こうしたHRテックは、EX改善を支える基盤的な役割を担います。

デジタルワークプレイス(社内ポータル・ナレッジ共有)

社内ポータルやナレッジベースは、部門や拠点間に存在する情報格差を解消し、組織全体での知識共有を促進します。最新のドキュメントやマニュアル、FAQがいつでも参照できる環境が整えば、従業員は情報検索に時間を取られることなく、本来の業務に集中できます。

また、ナレッジが組織に蓄積されることで、属人化の防止や新人教育の効率化にも効果を発揮します。デジタルワークプレイスは、DX推進のインフラとして従業員体験を底上げする存在です。

コミュニケーション・コラボレーションツール

チャットツールや社内SNS、ビデオ会議システムは、物理的な距離や勤務形態の違いを超えて従業員同士をつなぎます。特にリモートワークやグローバル展開を行う企業では、こうしたツールが組織の一体感を維持するうえで重要です。

リアルタイムでの情報交換やプロジェクト単位での協働が促進されれば、心理的な孤立感が減り、従業員の安心感やエンゲージメントも高まります。単なる連絡手段にとどまらず、企業文化を醸成する装置としての役割を果たすのです。

EXを成功させるDXのポイント

EXの取り組みは導入するだけで成果が出るものではなく、組織にしっかりと根付かせる工夫が不可欠です。そのためには、経営層から現場までを巻き込み、データを軸に改善を続ける仕組みを整えることが求められます。ここでは定着に向けた三つの重要なポイントを整理します。

経営層の理解と投資対効果の明確化

EXやDXの施策は短期的なコストとして捉えられがちですが、経営層がその真の価値を理解し、中長期的な投資であることを明確に示すことが必要です。従業員体験の向上がエンゲージメント強化や離職率低下、ひいては企業価値の向上に直結することを、人的資本経営の文脈で説明すれば説得力が増します。さらに、ROIを数値で提示することで、経営層の意思決定を後押しし、持続的な投資を可能にします。

従業員の声を反映した施策設計

EX施策を形骸化させないためには、現場の声を制度や仕組みに反映させることが欠かせません。サーベイやヒアリングを通じて従業員のニーズや不満を把握し、改善策に直結させることで納得感を高められます。従業員が「自分の意見が組織を変えている」と実感できれば、施策は単なる制度ではなく、主体的に関わるきっかけとなり、自然と定着していきます。

データドリブンでの継続的改善

EXとDXを持続的に成長させるには、定量データに基づいた改善のサイクルを確立することが鍵となります。サーベイ結果や利用データを分析し、課題を特定したうえでPDCAを回せば、施策の有効性を検証しながら次の改善につなげられます。このプロセスを組織に根付かせることで、EX施策は一過性ではなく、企業文化として定着していきます。

関連記事:DX時代の企業に欠かせない10のツール

まとめ

EXとDXを組み合わせる取り組みは、従業員の働きがいや成長機会を高めると同時に、業務効率化や企業価値向上にも直結します。経営層の理解と投資判断、現場の声を反映した制度設計、そしてデータに基づく継続的な改善を組み合わせることで、施策は形だけで終わらず組織文化として定着していきます。人的資本経営や情報開示の流れを見据えても、EXとDXの融合は企業が持続的に成長するための重要な戦略といえるでしょう。

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