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更新日:
2025-04-22

定着率アップで企業の成長を加速させる!職場環境・待遇・働き方の最適解

この記事を書いた人
Yuko Kobayashi
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目次

従業員の定着率向上は、企業の競争力を高める重要な戦略の1つです。 しかし、現場では「採用してもすぐに辞めてしまう」「優秀な人材を確保し続けるのが難しい」といった課題に直面している企業も少なくないでしょう。

採用や育成にかかるコストを抑え、組織の生産性を最大化するためには、定着率アップのための施策を講じることが有効です。

そこで本記事では、従業員の定着率を向上させる具体策を7つ紹介します。定着率が低下する原因についても詳しく解説するため、離職率の課題を解決したい方はぜひご覧ください。

従業員の定着率向上とは

ここでは、定着率について以下の2つのポイントを解説します。

  • 定着率の平均値
  • 定着率の重要性

順番に、詳しく見ていきましょう。

定着率の平均値

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると、正従業員の定着率の平均は約87.9%です。

定着率は、「定着率(%) =現在在籍している従業員数÷入社時の従業員数×100」の計算式で算出できます。また、定着率の逆の概念である離職率は、100%から定着率を引いたものです。

企業の規模や業界によって異なりますが、大企業では定着率が高く、中小企業では低い傾向にあります。

例えば、定着率が70%以上であれば、比較的働きやすい環境と考えて良いでしょう。一方で、70%を下回る場合、職場環境や労働条件に課題がある可能性が高いと言えます。

出典:令和5年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省

定着率の重要性

従業員定着率は、企業の持続的な成長や競争力強化に不可欠な指標です。

定着率が高い企業は、採用や育成のコストを抑えられるだけでなく、さまざまなメリットがあります。

例えば、長期的に働く従業員が多ければ、企業文化の浸透が進みやすくなり、専門的な知識やスキルの蓄積につながります。また、同じメンバーで働き続けることで、従業員同士の信頼関係が強まり、チームワークの向上にも寄与するでしょう。

厚生労働省も、中小企業向けに職場環境の改善や長時間労働の抑制などの支援を実施し、企業の定着率の向上を後押ししています。まずは自社の定着率を業界平均と比較し、課題を把握することが重要です。

従業員の定着率が向上しない理由

従業員の定着率が向上しない理由は、主に以下の6つです。

  • 労働条件が悪い
  • 給与が見合わない
  • 職場環境が悪い
  • 仕事に満足できない
  • キャリアアップが望めない
  • ワークライフバランスが保てない

それぞれについて、詳しく解説します。

労働条件が悪い

従業員の定着率が向上しない理由の1つに、労働条件が悪いことが挙げられます。

長時間労働や休暇の取得が難しい環境では、従業員の心身に負担がかかります。疲労やストレスが蓄積して、離職を考える人が増加してしまうでしょう。

また、福利厚生には、住宅手当や交通費補助、退職金制度などが含まれます。福利厚生が不十分な場合、生活費の負担が増し、もっと条件の良い会社があると転職を考えることもあるでしょう。

従業員の満足度を高め、長期的な雇用の安定を目指すためにも、労働条件を整える必要があります。

給与が見合わない

給与が見合わないことも、定着率が向上しない理由の1つです。市場の相場よりも低い給与や、業績に見合った報酬が支払われていない場合、従業員の不満につながり、好待遇の職場を求めて転職してしまうことがあるでしょう。

また、企業の利益が増えても給与に反映されない、物価上昇に対応できないなどの給与制度も改善の余地があります。給与水準の見直しと適正な評価制度の整備が必要です。

職場環境が悪い

上司や同僚との意見の不一致、職場内のハラスメントがある職場環境では、従業員のモチベーションが低下し、精神的なストレスが蓄積されてしまいます。

また、人間関係が悪いと職場全体の雰囲気が悪化し、コミュニケーションが取りづらくなるでしょう。先輩従業員や同僚に相談しにくい環境では業務が円滑に進まず、従業員の離職につながる可能性があります。

人間関係の改善は一朝一夕にはいきませんが、チームビルディングの機会を増やすなど、コミュニケーションを活性化させる取り組みを検討しましょう。

仕事に満足できない

仕事に満足できないことも、定着率の向上が阻まれる原因の1つです。

仕事内容が単調で変化が少ない、または新たなスキルを習得する機会が限られていると、成長の実感が得られず、働き続ける意欲が低下してしまうでしょう。

例えば、会社やチームの目標が不明確であれば、自分の仕事の意義を見いだせず、モチベーションが低下してしまいます。定着率を向上させるためには、従業員一人ひとりの適性に応じた業務を割り当てることが重要です。

キャリアアップが望めない

将来のキャリアプランが描けない状況では、成長を実感できず、モチベーションが低下しやすくなります。

特に、単調なルーティンワークが中心の職場では、自己成長を感じにくく、やりがいを見いだせずに離職する人もいるでしょう。

また、キャリアについて相談できる仕組みがない状態では、将来に対する不安を抱えてしまうでしょう。定着率を向上させるには、従業員のキャリア形成をサポートする体制を整えることが重要です。

ワークライフバランスが保てない

ワークライフバランスが保てないことは、従業員の定着率が向上しない大きな要因です。給与が見合っていない長時間労働や休暇が取りにくい環境では、生活が圧迫され、仕事への意欲が低下しやすくなります。

従業員のプライベートを尊重する労務管理を行わなければ、定着率の低下を招くでしょう。

関連記事:エンゲージメントマネジメントとは?離職率低下&業績アップにつながる実践法を解説

従業員の定着率向上の具体策7つ

従業員の定着率を向上させる具体的な方法は、以下の7つです。

  • 給与・待遇を改善する
  • 柔軟な働き方に対応する
  • キャリアパスを明確にする
  • 採用基準を見直す
  • 従業員エンゲージメントの向上を図る
  • 職場環境を改善する
  • 従業員間のコミュニケーションを活性化させる

それぞれについて、詳しく解説します。

給与・待遇を改善する

従業員が安心して働き続けるためには、適正な給与と充実した待遇が欠かせません。

市場相場に合った給与を設定し、昇給の規定を明確にすることで、将来の見通しを立てやすくなります。

例えば、昇給の仕組みが不透明だと、働く意欲が下がり、転職を考える原因になりかねません。また、住宅手当や家族手当、退職金などの福利厚生制度を整えることも重要です。

給与や待遇の改善は、従業員の満足度を高め、会社への信頼を築く重要な施策です。

柔軟な働き方に対応する

従業員の定着率を向上させるには、柔軟な働き方に対応することも大切です。

家庭の事情やライフステージの変化によって通勤が困難になった場合でも、働き方を選択できれば、勤務を継続しやすくなります。

柔軟な働き方を可能にする制度として、次のような方法があります。

  • 完全在宅勤務・一部在宅勤務(リモートワーク)
  • 時差出勤
  • フレックスタイム
  • シフト
  • 短縮労働週

リモートワークが可能な業種では、在宅勤務の導入が有効です。

シフト制やフレックスタイム制を取り入れることで、従業員は自分の生活に合わせて働けるため、ワークライフバランスが向上するでしょう。

キャリアパスを明確にする

キャリアパスを明確にすることは、従業員の定着率向上に欠かせない具体策です。

人事評価制度の基準が曖昧だと、自身の成長が適切に評価されていないと感じ、不満を抱えてしまいます。

例えば、スキルマップを作成し、職種ごとに必要なスキルや昇進の要件を可視化することも方法の1つです。また、社内公募制度を導入し、従業員が自ら希望するポジションにチャレンジできる環境を整える方法もあります。

成長の機会を増やし、キャリアパスを具体的に示すことで、従業員の成長意欲を高めるとともに、定着率の向上が期待できます。

採用基準を見直す

採用基準を見直すことは、従業員の定着率向上に効果的な具体策です。入社後のミスマッチを防ぐためには、企業の求める人物像を明確にして、適性や能力を的確に見極めることが重要です。

採用基準を設定する場合は、自社で活躍している従業員の特性を分析し、企業文化や業務内容に適した人材像を定めましょう。

選考時には、書類や面接だけでなく適性検査などの客観的なデータも活用すると、採用の精度を高められます。

特に新卒採用では、将来的な成長性や職場での適応力を慎重に見極めることが大切です。適性検査やインターンシップを活用し、企業と求職者の相互理解を深め、入社後のミスマッチを防ぎ、定着率の向上につなげましょう。

従業員エンゲージメントの向上を図る

従業員エンゲージメントの向上を図ることは、定着率向上の重要な具体策です。エンゲージメントが高い従業員は、仕事への満足度が高く会社に対する愛着をもちやすいため、長期的な定着につながるでしょう。

効果的な施策には、社内報やニュースレターの活用があります。各部署の成功事例や魅力的な取り組みを共有することで、他部署にも良い影響を与え、組織全体の活性化を促進できます。

特に従業員数が多い企業では、部署ごとの取り組みや成果が十分に共有されていないことも多いため、情報をリアルタイムで発信できる仕組みを整えると有効です。

企業と従業員の信頼関係を強化し、一人ひとりが会社のビジョンや目標に共感できる環境を整えることで、エンゲージメントの向上と定着率の改善が期待できます。

職場環境を改善する

職場環境を改善することは、従業員の定着率向上に欠かせない具体策です。快適な職場環境は、従業員の満足度を高めるだけでなく、生産性の向上やストレスの軽減にもつながります。

具体的な施策として、オフィスの作業環境の整備が有効です。照明やデスク・椅子の配置を見直し、従業員が集中しやすい環境を整えましょう。また、リラックスできる休憩スペースを設置するのもおすすめです。

気軽にリフレッシュできる場所を確保することで、業務の合間にリラックスし、モチベーションを維持しやすくなります。騒音対策や空調なども管理し、快適に過ごせるオフィスづくりを目指しましょう。

従業員間のコミュニケーションを活性化させる

従業員間のコミュニケーションを活性化させることは、従業員の定着率向上に効果的な具体策です。

円滑なコミュニケーションは、従業員同士の信頼関係を深め、組織全体の一体感を生み出します。

職場での対話が増えると、業務の効率化やストレス軽減にもつながり、離職防止の効果が期待できます。

例えば、従業員参加型のスポーツイベントや懇親会を開催すると、業務外でも関係を築きやすくなり、職場の雰囲気を良くする効果が見込めるでしょう。

また、部署間の情報共有をスムーズにするために社内SNSやチャットツールを活用し、リモートワークの従業員とも円滑にコミュニケーションを取ることも可能です。

従業員が働きやすい環境を整え、定着率の向上を図りましょう。

関連記事:部署間コミュニケーションを促進!施策や促進事例を解説

まとめ

従業員の定着率を向上させることは、企業の成長を加速させる重要な要素です。

定着率が向上すれば、採用コストや教育コストを削減し、職場の生産性を高められます。本記事では、職場環境の改善、待遇の見直し、柔軟な働き方の導入など、具体的な施策を紹介しました。

快適なオフィス環境の整備や、適正な評価制度の確立、ワークライフバランスの確保は、従業員の満足度を高め、長期的な雇用につながります。さらに、チーム内のコミュニケーションを活性化し、キャリアパスを明確にすることで、従業員のエンゲージメントを向上させることが可能です。

自社に最適な施策を取り入れ、働きやすい環境を整えることが、企業の持続的な成長につながります。まずは、現状の課題を洗い出し、実践可能な施策から始めていきましょう。

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